はる なみ みらい

雑音のない音の感じ。技術のみらいを考えたい

都市を救う、そのための技術

世界中がロックダウンになって、破壊されたものは「都市」というものだと感じてます。

生活必需品を生産・流通させる仕組みは維持された一方、都市の賑わいと呼べるものはいったん全部否定されました。
もちろん、徐々に戻ってくるのだと思いますが、賑わいというものを肯定的にとらえることのできない状態が続いていくことは自明です。
 仕方のないことですが、このままでは都市というものが窒息死してしまうのではないか、そんな危惧を持っています。

 地方都市のここ20年ぐらいの動きを見てみると、賑わいを失い、必死に取り戻そうと街おこしが行われてきたものの、結局苦戦してきたということは事実です。今回は、都市が生き残れるかの瀬戸際にいるというのも言い過ぎではありません。
 
  おうち生活を続ける中で、自分が都市の賑わいというものが好きだった、ということは改めて認識しました。
 そこで、都市というものを守るために何ができるのかという、ある意味地方都市で街おこしを頑張ってきた人たちと同じことを考える場面が来ました。

 都市の賑わい守るための方法は、都市が持っていた機能を電子空間上に移植することだと思います。

 現状、買い物については、ネットショッピングでほとんどのものは購入できます。セミナーもほとんどオンラインに移行しましたし、居酒屋でやっていた飲み会すらZOOMに移行しました。
 この結果、「動画視聴者が爆発的に増えた」といった数字で出せるものには表れていますが、その数字を見ても、
都市のような賑わいが再現できたとはなりません。

この状況は、都市の賑わいというものは、自分事なのに対し、電子空間上の取引はあくまでプラットフォーマーによる経済活動でしかない、ということではないかと思います。
逆説的ですが、都市とは、実は住人の所有物であり、そのために公共性が維持されている、という事実に気づかされたのです。(マンションポエムが主張する、「都市を所有する」というのは実は真実だったのです。)
巨大都市に人が集中するメカニズムは、人が増えるほど価値が指数関数的に増大する、というモデルで説明できるように思います。 

まとめると、こんな感じです。
・都市の価値は都市の賑わいで決まり、人が集まることで指数関数的に価値が増大する
・今回、都市の賑わいを人為的に抑えつける必要が出ている
・電子空間上のサービスは、プラットフォーマーの経済活動になってしまう可能性が高い。


この状況の解決策として、「都市のような公共的な空間を、電子空間上に実現すればよい」という一つの方向性が見えてくるのです。
ただ、インターネット歴の長い人から見れば、電子空間上の公共空間というものが長期で持続し得ないものであることを理解しています。(人が増えると荒れ始め、最後は商業主義がはびこる、みたいなパターンです)
その行き詰まりを乗り越えるためのキーが、物理的な都市空間が有する公共性だと思っています。
(公共性とは何か、みたいな議論は厄介なので、とりあえず置いておきます)

 使えそうな技術として、ここ数年はやっていたデジタルツインというものがあります。実体の機械などと、対応するシミュレーションモデルを用意し、実体機械とシミュレーションモデルを連動させることで装置の故障を予測したり、効率的な運用方法を探ったりする、という概念です。
 
 私が企んでいるのは、一般的なデジタルツインとは使い方が違い、
物理的な都市とリンクする電子空間というものを構築し、物理的な都市が有する公共性によって、電子空間の公共性を担保する、という構想です。
 実装としては、電子空間上の所有権と物理空間上の所有権を完全にリンクさせる、というイメージです。
 電子空間上の利用者は、物理空間上の所有者から権利を借りる形となるので、電子空間上の空間も物理空間上の所有者の管理が及ぶことになります。
 この仕組みがうまく作れれば、電子空間上で特定の都市が盛り上がった場合に、その価値を物理的な都市に還元することが可能であり、街おこしとリンクさせることもできるのです。

何となく、これを実現させようと考えている人はいそうだし、他に都市を救う方法もないので、どうにかして実現したいものです。